
ホームページ制作やシステム開発を依頼する際に、「RFP(提案依頼書)」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?
RFPとは、外部の企業に提案を依頼するために必要な情報をまとめた文書のことで、質の高いホームページやシステムを制作してもらうために欠かせない重要な資料となります。
しかし、どのようにRFPを作成すればよいかわからないと悩まれる方も少なくありません。そこで、今回はホームページ制作を依頼する際に役立つRFPのサンプルを作成しました。編集可能なファイル形式で提供しており、すぐにご利用いただけます。
下記よりRFPサンプルをダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
目次
1:RFPとは?基本の概要を解説
2:RFPを作成する目的とその重要性
3:RFP作成前に準備しておくべきこと
4:ホームページ制作向けRFPサンプル
5:RFPの具体的な書き方と各項目のポイント
6:まとめ
1. RFPとは?基本の概要を解説
RFP(提案依頼書)とは、ホームページ制作やアプリ開発、システム開発などのプロジェクトにおいて、発注者が制作会社に提示する書類です。この書類には、プロジェクトの目的、現状の課題、解決に必要な機能や要件などが明確に記載されています。
RFPの役割は、制作会社に対して自社の要望を正しく伝え、最適な提案を引き出すことです。簡単に言えば、「どのようなホームページを作りたいのかを整理した指示書」ともいえます。RFPをしっかり作成することで、制作会社との認識のズレを防ぎ、スムーズなプロジェクト進行が可能になります。
補足:RFIとの違い
似たような言葉でRFI(Request for Information)がありますが、これは作成の目的が異なるため、しっかりと区別する必要があります。RFI は、基本的な情報を共有し、概算的な提案を受けるための文書です。まだ要件が固まっていない段階で、どのような選択肢があるのか、どの企業が対応可能なのかを把握するために活用されます。
簡単に言えば、RFIは情報収集のための書類、RFPは具体的な提案を求めるための書類という違いがあります。状況に応じて適切に使い分けることが重要です。
2. RFPを作成する目的とその重要性
本記事ではRFP(提案依頼書)について解説していますが、実際にはRFPがなくても提案を受けることは可能です。弊社にお問い合わせいただく企業様の中でも、事前にRFPを共有されるケースは約3割程度となっており、必須ではありません。しかし、ホームページ制作のプロジェクトにおいてRFPは非常に重要な役割を果たします。
その大きな役割は、「要望に対する共通認識を持たせることで、制作会社からの提案の質や粒度を均一にすること」です。もちろん、各社の提案内容には個性がありますが、RFPを提示することで、スケジュール、予算、ゴール、必要な機能といった大枠を揃えることができ、自社の要望と提案のミスマッチを防ぐことが可能になります。さらに、文書化することで要件の抜け漏れを防ぐというメリットもあります。そのため、より精度の高い提案を受けるためにも、可能な限りRFPを作成し、制作会社と認識を揃えることをおすすめします。

3. RFP作成前に準備しておくべきこと
RFPを作成する前にはいくつかの事前準備が必要になります。ここからは、RFPの作成前に準備するべき4つのことを解説します。
①自社の現状整理を精緻に行う
RFPを作成する際、自社の現状を正確に把握できていなければ、依頼内容を適切にまとめることは難しくなります。最適な提案を集めるためには、まず会社全体の課題や現在のシステムの状況を詳細に確認することが重要です。現状を正しく把握することで、ホームページの目的や必要な機能がより明確になり、RFPの内容にも具体性を持たせることができます。
例えば、「現行サイトのどの点に課題があるのか」「リニューアルを通じてどんな成果を得たいのか」といったポイントを整理することで、提案の方向性がブレにくくなります。制作会社側も要望を正しく理解しやすくなり、より的確な提案を受けることができるでしょう。
そのため、RFPを作成する前に、自社の課題を洗い出し、目標を明確にするプロセスをしっかりと行うことが大切です。
②社内関係部門と内容を調整する
RFPの作成は、Web担当者だけでなく、社内の関係部署とも事前にすり合わせを行うことが重要です。担当者と社内の関係者との間で認識のズレがある状態でRFPを作成すると、制作後に大幅な修正が発生するリスクが高まります。また、各部署と認識を統一し、具体的な内容を盛り込んだRFPを作成することで、ホームページの目的に合致した、より質の高い提案を受けることが可能になります。
具体的には、顧客と直接関わる営業担当者にヒアリングを行えば、よりユーザー目線を取り入れたサイト設計が可能です。また、製品サイトを制作する場合、開発や製造に関わる技術者から意見を聞くことで、製品の魅力をより効果的にアピールする設計ができます。
③ホームページ制作後の運用設計を行う
ホームページのリニューアルや構築を進める際に、「ホームページを完成させること」が目的にならないよう注意が必要です。 これを防ぐためには、RFP作成時に運用体制を明確にしておくことが重要です。
ホームページは制作して終わりではなく、公開後の運用によって効果を高めていくことが不可欠です。そのため、どのような体制で運用するのか、必要な人員や担当メンバー、運用にかかる費用を事前にイメージしておくことが理想的です。
④ホームページ制作会社の選定基準を明確にする
RFPを作成する前に、ホームページ制作会社の選定基準を社内でしっかりすり合わせ、明確にしておきましょう。 これにより、業者選定にかかる時間を短縮でき、提案を受けてから制作開始までの流れをスムーズに進めることができます。
また、事前に選定基準を明確にしておくことで、制作会社が決定した後に社内から不満が出るリスクを減らせます。 たとえば、デザインや機能面の期待値が関係者間で異なる場合、基準を統一しておけば意見の食い違いを防ぐことができます。
具体的な選定基準の例としては、「価格を重視するのか」、「コミュニケーションのしやすさを優先するのか」、「コンテンツの企画力に重点を置くのか」、それとも「納期を最優先するのか」などが挙げられます。これらの項目を事前に整理し、社内で合意を取っておくことで、自社に最適な制作会社を効率的に選定できるようになります。
4. ホームページ制作向けRFPサンプル
ホームページ制作を依頼する際のRFPサンプルを作成しましたので、是非、リニューアルや新規構築をご検討中の方は下記からダウンロードしてお使いください。
システム開発の場合もある程度応用してご使用頂けるRFPサンプルになっています。

RFPサンプルをご覧いただくとわかるかと思いますが、一般的なホームページ制作の場合に関しましては、下記内容の記載が推奨されています。各項目の詳細は次章でご説明します。

5. RFPの具体的な書き方と各項目のポイント
ここからは、RFPの書き方と各項目のポイントを説明していきます。
①プロジェクト概要
RFPでは、まずプロジェクトの概要を明確に記載することが重要です。 ホームページ制作の目的や背景をしっかりと提案依頼先に伝えることで、制作会社がプロジェクトの意図を正しく理解し、自社の要望に沿った提案を受けやすくなります。また、プロジェクトの目的や背景を詳細に説明することで、制作会社との認識のズレを防ぎ、より適切な提案を引き出すことができます。
②会社概要・事業内容
会社概要や事業内容は、制作会社に自社の特徴や課題を正しく理解してもらうために記載します。具体的には、拠点所在地や正式な社名、ビジネスモデルなどの基本情報を明示することで、より的確な提案を受けやすくなります。
③ターゲット・競合情報
自社の顧客層や目的を踏まえたうえで、ホームページのメインターゲットを明確に記載します。ターゲットを具体的にすることで、サイトを通じてどのような行動を促すべきかが明確になり、より効果的な設計が可能となります。ビジネス戦略の中で既にターゲットとするペルソナが定まっている場合は、その情報を詳しく記載することで、制作会社が適切な提案を行いやすくなります。
④現状の課題
ホームページのリニューアルを通じて解決したい現状の課題を、具体的かつ詳細に記載します。システム面の問題や現在抱えている悩みといった表面的な課題だけでなく、事業の方向性や組織全体の課題といった広い視点からも整理することが重要です。最終的に解決すべき本質的な課題によって、ホームページに求められる機能や設計の方向性が大きく変わるため、全体像を明確にすることで、より的確な対策を立てることができます。
⑤本プロジェクトのゴール
前項で整理した課題に対して、ホームページのリニューアルを通じてどのように解決を図るのかを具体的に記載します。Webサイトには「問い合わせ獲得の強化」や「ブランドイメージの向上」など、さまざまな目的がありますが、それらを明確にすることで、制作会社からの提案の精度も高まります。さらに、KPI(重要業績評価指標)として「月間の問い合わせ件数を〇%増加させる」「資料請求数を〇件以上獲得する」など、定量的な目標を設定し、成果を測れる形にすることが重要です。
⑥機能要件定義
ホームページに求めるシステムや機能について、具体的に記載します。例えば、ECサイトであれば、ポイントプログラムの導入や会員登録機能、さらには在庫管理や決済システムとの連携など、必要な機能が明確になります。これらの機能要件は、制作会社の提案内容や費用、スケジュールに大きく影響するため、できる限り詳細に記載し、抜け漏れなく要件定義しておきましょう。また、優先度の高い機能と将来的に追加したい機能を分けて整理しておくと、よりスムーズに進めることができます。
⑦提案に含んでいただきたいこと
提案書に盛り込んでほしい内容を明確に記載します。この項目は、各社の提案内容の方向性や精度に大きく影響するため、できるだけ詳細に伝えることが重要です。例えば、開発手法や制作体制、必要な工数、スケジュールといった基本情報に加え、自社が業者選定で重視するポイントを明示することで、提案内容の精度が向上します。また、デザインの方向性や運用体制の提案、SEO対策の有無など、具体的な要望を加えることで、比較検討しやすい提案書が集まりやすくなります。
⑧ドメイン・サーバ・SSL
この項目では、ドメインやサーバーに関する要件を明確に記載します。現在使用しているドメインやサーバーを引き続き利用するのか、新たに用意する必要があるのかを明示しましょう。もし制作会社側でサーバーを手配する場合は、必要なスペックやセキュリティ要件、管理体制などの詳細も記載しておくとスムーズです。また、運用・保守の範囲についても事前に明確にしておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。
⑨予算
予算によって各社からの提案内容が大きく異なるため、RFPには可能な範囲で予算を明記することが重要です。明確な予算が決まっている場合は、その金額を提示することで、提案内容のズレを防ぐことができます。ただし、予算の上限が厳密に決まっていない場合や柔軟に調整可能な場合は、提案書の中で予算超過が発生する場合の理由を記載するよう依頼するとよいでしょう。これにより、予算内に収まる提案だけでなく、コストは増えるもののより価値のある提案を受け取る可能性を高めることができます。
⑩スケジュール
ホームページリニューアルのスケジュールを明確にするために、想定している公開時期を記載します。具体的な公開日を決めていない場合でも、おおよその時期(例:◯年◯月頃の公開を予定)を提示することで、制作会社側も提案内容やスケジュール調整がしやすくなります。
⑪プロジェクト全体のスケジュール
RFPに対する質疑応答の対応期間や提案プレゼンの日程、そしてその後の業者選定プロセスを含めたプロジェクト全体のスケジュールを明確に記載します。具体的には、RFP配布後に質問を受け付ける期間と回答日、各社の提案書提出期限、プレゼンテーションの実施日、業者選定の決定日や契約締結予定日などを設定すると、制作会社側もスケジュールを見据えた準備がしやすくなります。
⑫提出物
RFPの公開後、提案を依頼した各社に期日までに提出してもらう必要がある提出物を明記します。具体的には、見積書や企画書、デザイン案(ワイヤーフレーム)など、自社が選定を行う上で必要となる資料の内容を詳しく記載しましょう。見積書には、費用の内訳が詳細に分かるように依頼し、企画書ではサイトの目的やターゲット、コンセプトなどを明確に示してもらうように伝えます。また、デザイン案やワイヤーフレームについては、最低限どの範囲までの提出を求めるのかを事前に決めておくことで、各社の負担を考慮しながらも公平な評価が可能になります。
⑬提出先と提出期限
提出先と期日を明確に記載します。
6. まとめ/RFPサンプルダウンロード
ここまで見てきたように、RFPは質の高いホームページの提案を受けるために欠かせない重要な要素です。適切に作成されたRFPは、複数の制作会社からの提案を適正に評価できるようになるだけでなく、サイトに求める内容が明確になり、プロジェクトの目標がぶれにくくなります。また、契約時のトラブルを防ぎ、社内の課題を整理する機会にもなるため、事前にしっかりと作成することが重要です。
しかし、RFPを作ろうとすると、専門的な内容が多く、どのようにまとめればよいのか分からないと感じる方も少なくありません。そこで、ホームページ制作やリニューアルの際に活用できる一般的なRFPのサンプルを用意しました。ぜひダウンロードして、自社のプロジェクトにお役立てください。また、お問い合わせからの相談も可能ですので、ぜひこちらからご相談ください!