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近年、サイバー攻撃の増加に伴い、企業はWebセキュリティ対策を強化する必要に迫られています。特に、ECサイトや会員サイトなどのWebアプリケーションに対する攻撃リスクが高まっており、個人情報漏洩の防止策として「WAF(Web Application Firewall)」の重要性が注目されています。実際に、弊社にもWAFに関する相談や問い合わせが増加しています。
本記事では、WAFの基礎知識から種類、仕組み、基本機能、導入の必要性やメリットまでを詳しく解説し、さらにWAFサービスを選定する際のポイントについても紹介します。Webセキュリティ対策を検討している企業の方は、ぜひ最後までご覧ください。
1:WAFとは?
-WAFの基本機能
-WAFの仕組み
-ファイアウォールとWAFの違い
-IPS/IDSとWAFの違い
2:WAFの必要性
-複数のWebシステム利用時のセキュリティ
-脆弱性が見つかった場合の対応が困難
-新種のサイバー攻撃のリスク
3:WAFのメリット
-脆弱性を修正できない場合にも対応できる
-保険的対策
-迅速な対応
4:WAFで防げる攻撃の種類
-SQLインジェクション
-クロスサイトスクリプティング(XSS)
-ブルートフォース攻撃
-OSコマンドインジェクション
-バッファオーバーフロー
-DDoS攻撃
-ディレクトリ・トラバーサル(パストラバーサル)
5:WAFの種類
6:WAF導入における注意点
-WAFによる誤検知の発生
-Webサイト停止のリスク
-WAFでは防げない攻撃
7:どのような企業がWAFを導入するべきか?
8:WAF選定・導入のポイント
9:WAF導入の手順
10:まとめ
WAF(Web Application Firewall)は、Webアプリケーションに対するサイバー攻撃を防ぐためのセキュリティ対策です。特にECサイトや会員サイトのように、ユーザー登録や個人情報の入力が求められるWebサービスは、多くの機密データを扱うため攻撃の標的になりやすく、十分な防御策が求められます。
WAFは、Webアプリケーションを狙った不正アクセスや攻撃をリアルタイムで検知・ブロックし、個人情報の漏えいやサイトの改ざんを防ぐ役割を果たします。従来のファイアウォールやウイルス対策ソフトでは防ぎきれないWeb特有の脆弱性を狙った攻撃に対して有効であり、近年、企業のセキュリティ対策として導入が進んでいます。
WAFには、さまざまなセキュリティ機能が備わっており、これらの機能を活用することでWebアプリケーションを多様な攻撃から保護することが可能です。
WAFの基本機能であり、Webサイトへの通信を監視し、不正なアクセスをブロックします。あらかじめ設定された「シグネチャ(通信パターンのルール)」をもとに、安全な通信かどうかを判断し、不審なアクセスを遮断します。
サイバー攻撃の手法は日々進化しているため、最新の攻撃に対応できるようにWAFのシグネチャを自動更新する機能です。これにより、新たな脅威にも迅速に対応可能になります。
Webサイトで利用されるCookie情報を保護する機能です。Cookieはログイン情報や閲覧履歴を記録するため、攻撃者によるなりすましや情報窃取のリスクがあります。WAFはこのような不正アクセスを検知し、被害を未然に防ぎます。
防御対象とするWebページを選択できる機能です。例えば、社内限定の管理ページを保護対象から外したり、特定のIPアドレスからのアクセスをブロックすることができます。これにより、必要なアクセスだけを許可し、不正アクセスのリスクを低減できます。
WAFは、検知した攻撃の種類や攻撃元のIPアドレスなどの情報を記録し、レポートとして出力する機能を備えています。これにより、どのような脅威が発生しているのかを把握し、必要に応じて追加のセキュリティ対策を講じることができます。
WAFを適切に活用することで、企業のWebサイトやWebアプリケーションをサイバー攻撃から保護し、安全な運営を実現することが可能になります。
WAFは、シグネチャベースの検知や、ブラックリスト/ホワイトリスト方式、AIによる異常検知などの方法を用いて攻撃を防ぎます。また、HTTP/HTTPSトラフィックを解析し、悪意のあるリクエストをブロックすることも可能です。
ファイアウォールとWAFは、それぞれ異なる目的で利用されます。ファイアウォールはネットワーク全体を防御する役割を持ち、WAFは主にウェブアプリケーションを保護するためのものです。ファイアウォールはネットワーク上の通信を監視・制御し、不正なアクセスを遮断する一方で、WAFはアプリケーション層の攻撃を防ぐことに特化しています。
・ファイアウォール:DDoS攻撃の対策には有効ですが、SQLインジェクションのような攻撃には対応できません。
・WAF:SQLインジェクションをはじめとするウェブアプリケーションへの攻撃を防ぐことが可能です。
IPS(侵入防止システム)やIDS(侵入検知システム)とWAFは、それぞれ異なるレイヤーでのセキュリティ対策を担います。IPS/IDSはネットワークトラフィックを監視し、不正アクセスや攻撃の兆候を検知・防御するのに対し、WAFはウェブアプリケーションを標的とした攻撃(SQLインジェクションやXSSなど)を防ぐ役割を持ちます。
・IPS/IDS:ネットワーク上の異常なトラフィックパターンを検知し、不正な通信を監視・防御。
・WAF:ウェブアプリケーションへの特定の攻撃をブロックし、アプリケーション層のセキュリティを強化。
安全なサイト運用には、適切なセキュリティ対策が欠かせません。特に、Webアプリケーションではユーザー情報や商品情報など、多くのデータを管理するため、より高度な防御が求められます。総務省の発表によると、2021年に観測されたサイバー攻撃の関連通信は約5,180億パケットに達し、過去3年間で2.4倍に増加しました。
もし社内で十分なセキュリティ対策を担う人的リソースを確保できない場合、WAFの導入は、ウェブアプリケーションを狙った攻撃からサイトを守るために不可欠な手段となります。
複数のWebシステムを運用する際、セキュリティの管理が複雑になり、抜け漏れが発生しやすくなります。各システムでセキュリティ設定が異なると、統一した対策を講じるのが難しくなります。
WAFを導入することで、アプリケーションレベルで一貫したセキュリティ対策を実施できるため、Webシステム全体のセキュリティを統合的に管理し、リスクを低減することが可能になります。
定期的な脆弱性診断サービスの活用は一般的になっていますが、診断で脆弱性が発見された場合、すぐに対応できないケースも少なくありません。例えば、サイトを停止できない、システムのバージョンアップが難しいといった運用上の制約により、修正作業が困難になることがあります。
特にECサイトのようなWebアプリケーションでは、脆弱性の放置が利益の損失に直結するリスクがあります。そのため、WAFを導入し、攻撃の遮断やリスクの低減を図ることが、セキュリティ対策として不可欠です。
新たなサイバー攻撃に対しても、WAFは有効な防御手段となります。サイバー攻撃は日々進化し、新しい手法が次々と登場するため、従来のセキュリティ対策では対応しきれないケースもあります。しかし、最新のシグネチャを自動で更新するWAFを導入すれば、新たな脅威にも迅速に対応できるため、より強固なセキュリティを維持することが可能です。
WAFを導入することで、運用上の制約によりアプリケーションの修正が難しい場合や、予防策として万が一のリスクに備えることが可能になります。さらに、万一セキュリティ事故が発生した際の事後対策としても活用でき、不正アクセスや攻撃のログをもとに迅速な対応を行うことができます。
使用中のフレームワークやソフトウェアに脆弱性が発見されても、運用上の理由で即座に修正が難しいケースがあります。こうした場合、WAFを併用することで、一時的に攻撃リスクを低減しつつ、その間に脆弱性の修正やパッチ適用の計画を進めることが可能です。これにより、現実的かつ効果的なセキュリティ対策を実施できます。
個人情報の漏えいなどのセキュリティ事故が発生すると、サイトの一時停止、脆弱性の修正、顧客対応といった直接的な対応に加え、企業の信頼低下や法的リスクといった間接的な影響も発生し、大きなコストがかかります。WAFを導入することで、事前にこうしたリスクを低減し、万が一の被害を最小限に抑えることが可能になります。
Webサイトがサイバー攻撃の被害を受けると、復旧作業が完了するまでサービスの再開が困難になり、その間に大きな機会損失が発生します。万が一の事態が発生した際には、まず緊急対応としてWAFを導入し、防御を強化しながら脆弱性の修正とサービス再開を進めることで、被害の拡大を抑えることが可能になります。
WAFを用いることで、数多くの攻撃を防ぐことができます。
「SQL」という命令文を利用し、データベース(会員情報や個人情報を保管する場所)に不正にアクセスして、カード情報や顧客情報を改ざん・窃取する攻撃手法。
掲示板など、ユーザーがコンテンツを投稿できるWebサイトに対して、不正なスクリプトを埋め込み、不正プログラムの感染やフィッシング詐欺、情報漏えいを引き起こす攻撃手法。
「総当たり攻撃」とも呼ばれ、可能な限りのパスワードの組み合わせを機械的に試行することで、暗号を解読したり、認証情報を不正に取得したりする手法。
「OSコマンド」と呼ばれる命令文を悪用し、Webサイトのログイン画面や問い合わせフォームに不正なコマンドを入力することで、Webサーバーに意図しない動作を実行させる攻撃手法。
システムのバッファ部分に大量のデータを送りつけ、不具合を発生させる攻撃手法。その不具合を利用することでサーバ自体を乗っ取り、不正な命令を実行させる。
複数のコンピュータを利用し、標的となるサーバーやWebサイトに大量のアクセスやデータを送りつける攻撃手法です。DDoS攻撃を受けると、サーバーやネットワーク機器に過剰な負荷がかかり、サイトが閲覧できなくなったり、通信が遅延するなどの障害が発生します。
ファイル名を扱うようなプログラムに対してファイル名を不正に書き換えることで、機密情報や個人情報などを窃盗する手法。
WAFには大きく分けて4つの種類があり、それぞれ異なる特徴を持ちます。
・アプライアンス型WAF:専用のハードウェアとして提供され、高い処理能力と安定性を確保できる。
・ソフトウェア型WAF:サーバーにインストールして使用するタイプで、環境に応じたカスタマイズが可能。
・クラウド型WAF:クラウドサービスとして提供され、スケーラビリティに優れ、導入が容易。
・サービス型WAF:監視や運用サポートも含めた形で提供されるため、セキュリティの専門知識がなくても利用しやすい。
WAFは正常な通信を攻撃と誤認識する「誤検知」を引き起こす可能性がありますが、適切な調整を行うことで軽減できます。誤検知の原因としては、厳格すぎるルール設定や誤ったシグネチャの適用などが考えられます。これを防ぐためには、ログの分析を行い、誤検知が発生したリクエストを確認し、必要に応じてルールのカスタマイズや例外設定を適用することが必要です。
WAFの設定が適切でないと、正規の通信が遮断され、Webサイトが一時的に停止するリスクがあります。しかし、事前のテストや継続的な監視を行うことで、こうした問題を防ぐことが可能です。導入時には、まず「検知モード」で動作させ、ログを分析しながら設定を調整することで、誤検知を最小限に抑えられます。また、運用中も定期的にルールを見直し、必要に応じて調整を行うことで、安定したサイト運営を維持できます。
WAFは多くの攻撃を防ぐ強力なセキュリティ対策ですが、すべての攻撃に対応できるわけではありません。特に、ゼロデイ攻撃(脆弱性が公表される前に悪用される攻撃)や、標的型攻撃、AIを活用した高度なサイバー攻撃には対処が難しい場合があります。そのため、WAFだけに頼るのではなく、IPS/IDSやエンドポイントセキュリティ、脆弱性診断、セキュリティ監視などの多層的な防御を組み合わせることで、より強固なセキュリティ対策を実現できます。
WAFは、特にユーザーとのデータのやり取りが発生するサイトや、機密性の高い情報を扱うウェブアプリケーションを運営する企業にとって重要なセキュリティ対策です。具体的には、以下のような業種やサイトでの導入が推奨されます。
・Eコマースサイト:クレジットカード情報や顧客データを扱うため、不正アクセスや情報漏洩のリスクが高い。
・オンラインバンキング:金融機関のオンラインサービスは、サイバー攻撃の標的となりやすく、高度なセキュリティ対策が必須。
・医療機関:電子カルテや患者の個人情報を保護するため、厳格なデータ管理が求められる。
・大学・研究機関:研究データや機密情報を保護し、不正アクセスやデータ改ざんを防ぐ必要がある。
WAFを選定・導入する際には、以下のポイントを考慮することが重要です。
最新の攻撃に対応できるよう、シグネチャが頻繁に更新されるWAFを選ぶことが不可欠です。
導入後のトラブル対応や設定変更時のサポート体制が整っているかを確認し、迅速な対応が可能なベンダーを選びましょう。
自社の予算に合ったWAFを選定し、初期費用・ランニングコストのバランスも考慮する必要があります。
運用負担が少なく、直感的で使いやすいWAFを選びましょう。自動化機能が充実しているものを選ぶと、運用工数を削減でき、セキュリティ対策の形骸化を防げます。
WAFの導入は、以下の5つのステップで進めます。
導入の目的を明確にし、どのような攻撃を防ぐのかを定めた上で、必要なリソース(予算・人員・インフラ)を確認します。
自社の環境やセキュリティ要件に適したWAFを選定し、導入に必要なインフラを整備します。
選定したWAFを実際に設定・導入し、適切なセキュリティルールを構築します。
正常な通信が妨げられていないか、誤検知が発生していないかを検証し、必要に応じてルールの調整を行います。
定期的なシグネチャの更新やログ分析を行い、継続的に監視・メンテナンスを実施します。
これらのステップを適切に実施することで、WAFの効果を最大限に活かし、安全なWeb運用を実現できます。
WAFは、ウェブアプリケーションを標的とした攻撃から保護するための重要なセキュリティ対策です。ファイアウォールやIPS/IDSと異なり、アプリケーションレベルでの攻撃防御が可能なため、SQLインジェクションやXSS(クロスサイトスクリプティング)などの脅威に対して有効です。
特に、ECサイトや会員サイトなど、個人情報や機密データを扱うウェブアプリケーションを運用している企業にとって、WAFの導入は不可欠です。適切なWAFの選定・導入手順を踏むことで、より高いセキュリティ効果を発揮できます。
大阪に拠点を持つブリッジコーポレーションでは、WAFの導入支援サービスを提供しており、企業のニーズに応じた最適なソリューションをご提案可能です。導入を検討されている方や詳細についてご相談をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。
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